首・後頭部
3 items首すじ、後頭部、首の深層筋
- 下部僧帽筋
- 中部僧帽筋(補助)
- 上部僧帽筋(最小限の補助)
Scapular Wall Slide
壁に背中・骨盤・後頭部・両前腕を密着させた状態で、前腕を壁に押し付けながら頭上方向へスライドさせ、肩甲骨の上方回旋+後傾+上方傾斜を能動的に作り出し、90 度以上の挙上域で前鋸筋および下部僧帽筋を高活動させるダイナミック肩甲胸郭スタビライゼーション・エクササイズ。下方回旋症候群(SDR)・巻き肩・肩峰下インピンジメントの肩甲運動学的代償を再教育する目的で用いる。
対象の症状
主に伸びる筋肉
肋骨と肩甲骨を繋ぐ。肩甲骨の上方回旋に必須。
肩甲骨を下げて安定させる、姿勢の要。
肩甲骨を背骨側に引き寄せる中層筋。
回旋筋腱板の1つ。腕を外側にひねる。
首〜肩の表層筋。長時間の作業で硬直しやすい。
筋肉解説の出典: docs/glossary.md §2

Anatomy preview
医療診断ではなく、意識する場所をつかむための部位イメージです。主な焦点は 後頭部から首すじです。
target muscles
Muscle atlas
筋肉名を部位ごとに整理した簡易マップです。痛みの診断ではなく、動かす方向と意識する場所を確認するための目安として使います。
ハイライトは主な対象部位の概略です
首すじ、後頭部、首の深層筋
肩、胸、肩甲骨まわり
Motion guide
壁を背に立ち、後頭部・上背部・仙骨・両前腕を壁に貼り付けたまま、W ポジションから両腕を頭上方向(屈曲 140〜170 度)にスライドさせ、肩甲骨が上方回旋している姿勢
壁を背に立ち、後頭部・上背部・仙骨を壁に接触、肘 90 度屈曲・上腕 90 度外転・前腕の背面を壁に貼り付けた W ポジション。手のひら前方、親指天井向き
前腕を壁に押し付けたまま頭上方向に半分スライドした位置。肩甲骨が上方回旋し始め、下角が外側に移動
肘がほぼ伸びきる手前、両前腕と上背部すべてが壁に密着したまま頭上に到達。肩甲骨は上方回旋+後傾+上方傾斜のフルポジション
離心性にコントロールしながら W ポジションに戻る途中。下降速度はゆっくり
上部僧帽筋ですくみ上げ、肩が耳に近づいて首が短くなる。前鋸筋ではなく僧帽筋上部に効いてしまうパターン(赤マーク)
肘を伸ばし切るために腰椎を反らせ腰と壁の間に大きな空洞ができ、同時に前腕が壁から離れて挙上できているフリ(赤マーク)
平らな壁を背にして立ち、踵を壁から約 10〜15cm 離して立つ。骨盤を後傾気味にして腰椎の自然なカーブを保ちつつ腰と壁のすき間を最小化する(手のひら 1 枚分が目安)。後頭部・上背部・仙骨を壁に軽く接触させる。
両腕を「W」の形に作る:肘を約 90 度に屈曲し、上腕を約 90 度外転(肩の高さ)して上腕の背面と前腕の背面を壁に密着させる。手のひらは前方向、親指は天井方向。両前腕・手の甲・肘・上腕の背面すべてが壁に触れているか確認する。
前腕を壁に押し付ける圧を維持したまま、息を吐きながらゆっくり両腕を頭上方向にスライドさせる。最終位置は無理のない範囲で肘がほぼ伸び切る手前まで(個人差あり:屈曲 140〜170 度)。スライド中、後頭部・上背部・仙骨・両前腕の壁との接触を一切離さないこと。
頭上のトップポジションで 2〜3 秒キープ。「肩甲骨が背中の上で上向きに回転している」「脇の下の前鋸筋に力が入っている」感覚を確認する。息は止めない。
息を吸いながら同じ軌道でコントロールしてスタートポジションに戻る。下降中も前腕と上背部を壁から離さない。腕を「落とす」のではなく「降ろす」。
10〜15 回 を 1 セットとして 2〜3 セット繰り返す。各セット間は 60〜90 秒休む。週 3 日が標準的開始量(Kim 2016 プロトコルでは 4 週間:第 1 週 3×10、第 2 週 3×15、第 3 週 3×20、第 4 週 3×25、セット間休憩 2 分)。
発展バージョン(インピンジメント既往者・四十肩リハ後期向け):両手首にミニバンドを掛けて軽くテンションを張りながら同じスライドを行う=外旋+肩甲骨内転+前鋸筋活性化を同時に強化(Rehab Hero / Brookbush 推奨)。逆にレベルダウンする場合は接触する身体パーツを「両前腕+手の甲のみ」に減らし、後頭部や仙骨は壁から離してよい(壁に「上半身全部」をつけるのが難しい人向け)。
呼吸
上昇局面で吐く・下降局面で吸う(または自然呼吸)。ホールド中は決して息を止めない(血圧上昇・代償収縮を防ぐ)。
回数 / 頻度
10〜15 回 × 2〜3 セット。週 3 日。漸増プロトコル(Kim 2016):第 1 週 3×10 → 第 2 週 3×15 → 第 3 週 3×20 → 第 4 週 3×25、セット間休憩 2 分、計 4 週間で SDR 角度・PPT・VAS 改善。
このストレッチの内容は、以下の文献・公的情報を参照して構成されています。各リンクから一次情報を確認できます。
Kim Y-K, Cho S-H. J Phys Ther Sci. 2016;28(8):2299-2302. PMC5080198 · en · academic · 参照 2026-05-17
査読 RCT(n=22, 4 週間 3 日/週, ウォールスライド単独介入で SDR 角度・PPT・VAS 全て有意改善)・要約引用のみ
Hardwick DH, Beebe JA, McDonnell MK, Lang CE. J Orthop Sports Phys Ther. 2006;36(12):903-910. PMID 17193867 · en · academic · 参照 2026-05-17
査読 EMG 研究(n=20, ウォールスライドは 90°以上で前鋸筋を有意に活性化、p=0.001)・要約引用のみ
PMC4085196 (J Phys Ther Sci 2014) · en · academic · 参照 2026-05-17
査読 EMG 研究(n=15, WSD は上部僧帽筋 25.2% MVC・中下部前鋸筋 56〜63% MVC を達成)・要約引用のみ
Frontiers in Neurology. 2024;15:1357763 · en · academic · 参照 2026-05-17
査読 SR/MA(8 RCT, n=387, VAS WMD -0.94 / SPADI WMD -10.10, ウォールスライド含む scapular stabilization exercise の効果検証)・要約引用のみ
Brookbush Institute(DPT 監修レビュー) · en · clinic · 参照 2026-05-17
DPT 監修レビュー・要約引用のみ
[P]rehab Guys(DPT 監修) · en · clinic · 参照 2026-05-17
DPT 監修一般向け解説・要約引用のみ
Cools AM, Witvrouw EE, Declercq GA, Danneels LA, Cambier DC. JOSPT 2003;33(5):247-258 · en · academic · 参照 2026-05-17
査読 EMG 研究・前鋸筋/僧帽筋筋活動比検証・要約引用のみ
うつ伏せ Y-T-W 肩甲骨スタビライゼーション
床にうつ伏せになり、腕で Y・T・W の 3 形を作って肩甲骨を内転・下制方向に能動的に引き寄せることで、下部僧帽筋・中部僧帽筋・菱形筋を等尺性に筋力強化する、巻き肩・猫背・PC ワーカーの hunched posture 矯正向け能動的スタビライゼーション・エクササイズ。
バンドプルアパート(レジスタンスバンドで肩甲骨を寄せる)
立位で軽いレジスタンスバンドを胸の高さで両手に持ち、肘を伸ばしたまま左右に引き離して肩甲骨を寄せる、僧帽筋中部・菱形筋・後部三角筋を能動的に強化する動作。長時間のデスクワークで弱化しやすい肩甲骨内転筋群を低負荷・高頻度で活性化し、巻き肩姿勢の代償を補う。
ドアフレーム大胸筋ストレッチ(低・中・高 3角度)
ドア枠に前腕を当て、肩の高さに対して下・同じ・上の3角度で大胸筋および小胸筋を伸ばし、巻き肩・前方頭位姿勢に対抗するセルフストレッチ。
パッシブ・デッドハング(バー懸垂ぶら下がり)— Kirsch 肩減圧プロトコル
頭上のバーを順手で握り、完全に脱力してぶら下がることで、上腕骨が烏口肩峰アーチを下から押し上げ、肩峰下腔を重力減圧し、棘上筋・肩関節包・広背筋・大胸筋を同時にエンドレンジで伸長する John Kirsch 整形外科医のセルフプロトコル。1日合計 30 秒〜90 秒(10〜30 秒×複数セット)。